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教員紹介

吉川 尚

吉川 尚 (よしかわ たかし)



教授・博士(農学)

 

専門分野 水産生物環境学、海洋生態学
研究テーマ・研究課題 沿岸海域の物質循環における藻類の役割
研究内容  基礎生産者である藻類の物質代謝を切り口に、沿岸海域の物質循環及び食物網構造の解明に取り組んでいる。 具体的には、植物プランクトンや海藻の光合成速度を、炭素トレーサー法、酸素法、蛍光法により測定し、水温、光、栄養塩等の環境要因や分類群組成との関係を解析する。 近年は、海洋細菌類による有機物の分解・無機化過程にも取り組んでいる。 藻類の光合成と細菌類の無機化は、正反対の対をなす代謝であり、分析手法にも共通点が多い。 これらを同時に調べることでより的確に物質収支を把握できる。
 研究は、フィールドにおける観測と、室内実験による検証の両面から進めている。 複雑な物理・化学・生物過程からなる物質循環を論じることから、学内外の研究者と広く共同で進めている。 最終的に沿岸海域の持続可能な利用に貢献することを目指しているため、人間活動と生態系の相互作用に関する理解も欠かせない。 そこで、人文社会科学分野の専門家とも協力しながら、沿岸海域における環境問題が先鋭化している東南アジア諸国との国際共同研究プロジェクトにも参画している。

担当授業科目 水産植物学(水生植物学)、水産植物学実験(水生植物学実験)、科学英語
所属学会 日本海洋学会、日本水産学会
研究室について  本研究室の活動では、先入観を持たずに物事を注意深く観察する姿勢、理論的に思考する力が求められる。 最初から両方を備えていることは少ないと思うが、物事・人間に対する関心・好奇心があれば大丈夫である。 小職は中年の域に入り、好奇心の減退を日々自覚しているが、若い学生諸氏の発想と活力に刺激を受けて何とかなっている。 御返しに少しでも思考力を磨く手助けをしたいと思っている。
主な卒論のテーマ 「三河湾幡豆町前島沿岸のアマモ場及びガラモ場における葉上動物相」、「三河湾幡豆町前島沿岸に生息する葉上巻貝モロハタマキビLacuna (Lacuna) carinifera の生活史」、 「三河湾幡豆町沿岸における懸濁物質と透明度の季節変動」、「駿河湾奥部における流れ藻の種構成の季節変動」、 「ラオスの養魚池から単離した微細藻TOCP株の増殖速度の温度及び光量依存性」、「淡水産微細藻TOCP株のコガタツボワムシUTAC-LAO株用の生物餌料としての利用可能性」、 「ラオスの淡水魚養殖池におけるプランクトン群集の総生産と呼吸」
受験生へのメッセージ  創造的な仕事をするためには、頭の柔らかさ、理論的思考力、そして何より様々な物事への強い関心が不可欠である。 海洋は、表面積で地球全体の7割を占め、平均水深約3800m の広大な生息空間を生物に提供している。 海洋学部での学びは、皆さんの好奇心を大いに刺激し、世界観を変えることを確信している。 まだまだ未解明な部分が多い海洋の研究に、私たちとともに取り組みましょう!