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学べること

水生生物の生態を学び、増・養殖、保護・育成を考えます。

水産学科では、私たちの生活を豊かにするために、環境を守りつつ水生生物の増・養殖のあり方や安心で安全な食品をつくるための知識と技術を学んでいきます。水槽で魚を育てたり、実験室で新しい食品を開発したり、生物の幅広い利用を考えていきます。卒業後は水産試験場や水族館、環境調査会社などの生物に関連する分野や、水産物の製造、流通、販売などの企業、生物・化学の知識を活かした理科教員などの分野での活躍が期待されます。
生物生産学専攻では、魚、プランクトン、海藻などの生物を採集したり、飼育観察をしたりして生態と環境を理解し、マグロやイカなど身近な魚や、ミヤコタナゴなど絶滅危惧種などを育て増やすための基礎知識を身につけます。これらの基礎知識を身につけ、水生生物に関する教養を深めるだけでなく、実学を学び社会に貢献できる人材を育成します。


カリキュラム

水産学科生物生産学専攻では、1年次と2年次前半で水生生物の分類や生態を生物科学系の科目群で学びます。同時にこれらの生物の利用に関連したことを水産基礎の科目群で学びます。2年次後半と3年次では水族科学系、水族生態学系、水産増殖学系の3つの科目群でそれぞれの専門を学び、4年次にはそれらの集大成として研究室に所属し、教員の指導のもと研究活動を行います。

開講授業科目

区分・科目区分構成授業科目・学科目授業科目名
1 現代文明論 現代文明論 現代文明論1/現代文明論2
2 現代教養科目 文理共通科目 生命と環境/文化と自然/構造と変化/アイデンティティと共生/
知識とコミュニケーション/テクノロジーと社会
体育科目 健康・フィットネス理論実習/生涯スポーツ理論実習
3 英語コミュニケーション科目 英語コミュニケーション科目 英語リスニング&スピーキング1/英語リーディング&ラィティング1/
英語リスニング&スピーキング2/英語リーディング&ライティング2
4 主専攻科目 学部共通科目 海洋学概論/海洋実習1/海洋実習2/海洋環境総合演習/
自然を観る眼(基礎)/自然を観る眼(物理学)/自然を観る眼(化学)/
自然を観る眼(生物学)/数を観る眼/文章表現/歴史を見る眼/
社会を見る眼/情報処理実習1/情報処理実習2
学科共通科目 生物学/化学/物理学入門/地学/基礎微分積分/線形代数入門/
生物化学/有機化学/水産学ゼミナール/科学表現論/水産通論/
生物学実験/化学実験/水産フィールド演習/漁業学概論/
食品学概論/科学英語/生物統計学/海洋実習3/水産学特別講義
生物科学 魚類学/魚類学実験/海洋無脊椎動物学/海洋無脊椎動物学実験/
浮遊生物学/浮遊生物学実験/水生植物学/水生植物学実験/
水族生理学/動物生理学・生態学実験/基礎微生物学/基礎遺伝学
生物生産科学 水産資源学概論/資源生物学/水産増殖学/水産増殖環境学/
動物発生生物学/海洋生態学/水産餌料・栄養学/資源生物学実験/
水産増殖環境学実験/動物組織学・発生学実験/自然保護論/
水族繁殖学/水族病理学
HACCP資格関連 食品化学/食品製造学/食品衛生学/機能性食品学/HACCP実務管理論
水産学研究 水産学ゼミナール/水産学総合研究
  • ※その他、海洋フロンティア教育センター開講科目、第二外国語・スポーツなどの大学共通科目などがあります。

  • HACCP(危害要因分析に基づく重要管理点方式)
    1960年代に米国のNASAによって考案された宇宙食の高度な安全性を保証するシステムです。現在、ヨーロッパ、米国では一般食品もこのシステムで食品の安全性を確保しています。アジアでもこのシステムを導入し始め、日本でも多くの食品関連企業で導入しています。

主な授業科目

水産増殖学
水産上重要な生物を中心として、それらの生き物がどの様な仕組みで増えているのか、また、もっと増やすためにはどの様にすればよいか、 また種苗生産・放流や、産卵場や育成場の造成など実際に増やすためにどの様な努力をしているのか、 さらには種類によっては養殖方法や問題点などを説明します。
  

水産増殖環境学・水産増殖環境学実験
多様な環境が多様な生物を育んでいるが、本講義ではそのような環境を紹介し、環境が形成される仕組みを解説します。 また、水の中の生き物にとって重要な環境要因と生活との関連を講義で説明し、実験では異なる環境の中での生物の反応を調べます。
      

水産餌料・栄養学
水の中の生き物は何を食べて生活しているのか、どのように餌を食べているのか、 さらに水棲生物にとって必要な栄養素はどの様な物があるのかを学びます。 さらに人間が飼育する際に用いている餌料生物や配合飼料について、その培養や製造方法なども講義します。
  

水族繁殖学
水の中の生き物は多様な産卵行動や卵の性状をしているために多様な繁殖方法によってその種族を維持しています。 この講義では、それらを紹介するだけでなく、生殖腺の成熟と環境要因との関連や、それに伴う内分泌支配などを解説し、 さらにそれらを応用して人工的に成熟産卵させる方法や倍数体を利用したり、ホルモンによって性を制御する技術なども講義します。
    

水族生理学
魚類をはじめクジラやイカ・タコなど水棲動物の生活を理解するための生理を中心に扱います。 主なものとしては呼吸、血液循環、浸透圧調節、栄養代謝、内分泌、繁殖、行動と運動、免疫、などの生理現象を水中生活に必要な機能として理解します。 受講生のほとんどが水生生物が好きで、自分で飼育を経験したり、釣りを経験したりしていますが、その時に経験した生理学現象を紹介しながら学術的に学べるところが好評です。
 

魚類学実験
魚類学の基本的知識を「魚類学」の講義で学んだ後、実際に魚類の外部・内部・骨格などの形態を観察したり、解剖したりスケッチしたり、記録したりして科学的に漁類を扱う基本的方法と知識を実践的に学びます。 また、魚類の種類を調べる基礎的な知識が身に付きます。 卒業研究でどの分野を選択する場合にも、この実験は役立つ実験科目として学科の多くの学生が毎年履修しています。 実験担当教員が編著した「魚類学実験テキスト」で理解を深めます。
 

海洋生態学
生態学の基本的な概念を学んだ上で、生物と環境との相互作用、生態系におけるエネルギー流と物質循環などを、海洋と陸上の比較を交えて理解します。 そして、海草藻場やサンゴ礁などの具体的な生態系を例に、その機能や多種共存のしくみなどを通して生態学的なものの見方を学び、そのあるべき姿について考察する能力を養います。
  

水産フィールド演習
初年次生を対象とした科目で、共同作業を通してコミュニケーション力や集い力を養うと同時に、科学的調査の実施法やレポート作成の基本を学びます。
事前学習後の実習では、地曳網による採集調査を体験した後、各専攻に分かれて、採集物の観察と計測、採集物を用いた加工食品の製造を行い、最後にレポートを作成します。
  

海洋無脊椎動物学・海洋無脊椎動物学実験
水産業の面から重要な無脊椎動物(二枚貝・巻貝・イカ・タコ、エビ・カニ、ウニ・ナマコなど)を中心に、体のつくり、分類、進化、生態、生理、発生、利用方法、人間との関係などを学びます。 実験では学生自らには動物1個体が与えられ、自分で観察・解剖・スケッチを行ない、講義で学んだ知識の理解を深めます。
    

海洋実習3
長時間の曳網の後、後部甲板にIKMTが揚収されます。 同時に、採集直後の深海魚などの生物をいち早く見ようと、学生たちの歓声があがります。 毎回、繰り返される海洋実習3の光景です。 2006年以降、本実習によって明らかにされた日本初記録の深海魚は、コガシラボウエンギョ、イシフクメンイタチウオ、ナンヨウフクメンイタチウオの3種です。
     

資源生物学・資源生物学実験
水棲生物を資源として捉え、その変動メカニズムを理解するために必要な事項を学びます。 何歳で何cm、何g に成長する?;いつ、どこで、どれくらいの卵を産む?; どのように数が減少する?;繁殖集団とは?;水中にどれくらいの量がいる? そのような疑問を解決する方法論を学びます。

魚類学
長い進化の過程で出現した現生魚類について、観察法や計測法、生理、上位分類群ごとの特徴や生活史の多様性、同定法などを広く学びます。 また、一部の深海魚に代表される著しい変態発育型の種類について、形態発育とそれに伴う生態変化を解説し、彼らのミステリアスに富んだ個体発育を紹介します。