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教員紹介

川野美砂子

川野 美砂子 (かわの みさこ)



教授・社会学修士

 

専門分野 文化人類学、ケララ(南インド)、北タイ
研究テーマ・研究課題 ケララにおける宗教的多元性の構造、ケララのイスラム聖廟と集合的記憶、ケララにおけるセキュラリズムと公共空間、慿依儀礼:集合的記憶と想起、タイにおける霊魂観と心身観・生き物に関する観念
研究内容  ケララにはアラビア海を渡ってユダヤ教もキリスト教もイスラム教もそのもっとも早い時期に伝えられました。現在ケララはヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒が互いに隣人として調和的に暮らしていることで注目されます。 これを宗教的多元性として捉え、その構造を明らかにすることを目的として、研究を行っています。
 例えばケララのイスラム教徒「マービラ」の信仰する聖廟「ジャーラム」は、イスラム聖者あるいは殉教者の墓ですが、ムスリムばかりでなくヒンドゥーの人々も信仰し、その祭りに参加します。 イスラム聖者あるいはその墓がヒンドゥーにも信仰されるという現象はケララばかりでなく、インドの他の地域でも広くみられるのですが、ケララではジャーラムの祭りはムスリムとヒンドゥー、キリスト教徒との協力関係を象徴的に表現します。 こうした祭りはヒンドゥー教にもキリスト教にもあります。
 マーピラの文化でさらに特徴的なのは殉教者のジャーラムです。ここでは15世紀末に来航したヴァスコ・ダ・ガマ以降のポルトガル人の残虐行為の記憶と19世紀から20世紀にかけて頻発したマーピラの反乱の記憶を、「マーピラの歌」と祭りによって伝えています。

担当授業科目 人類学、海洋文化の伝統と創造、海洋思想史、生活文化調査法、海洋文明学研究、海洋文明学ゼミナール、海洋文明学研究計画、海洋文明学演習1・2、海洋文化演習1・2、海洋文明学概論、海洋文明学入門ゼミナール
所属学会 日本文化人類学、比較文明学会、日本南アジア学会
主な論文・著書 ・『グローバリゼーションのなかの文化人類学案内』(共著)明石書店
・『アジア読本 タイ』(共著)河出書房新社
・『太平洋世界の文化とアメリカ』(共著)彩流社
研究室について 研究室では文化人類学の方法と視点によって、アジアの文化と宗教、信仰と祭り、死者儀礼と死生観、身体観・霊魂観と人間観、結婚と家族・親族、ジェンダーなどのテーマに関する研究を行っています。 またこれとも関連して治療儀礼と慿依儀礼、歌と踊り、音楽と芸能、海と海の生き物をめぐる表象に関する研究を行っています。 これまでタイ、ミャンマー、インドなど、東南アジア、南アジアの地域の他、国内では沖縄、瀬戸内海海域、そして地元清水でフィールドワークを行ってきました。 また東海大学の研修航海に参加し、太平洋の島々を訪れた学生は、太平洋地域における国際協力の問題をテーマにしています。
主な卒論のテーマ 「和霊・ミサキ・恵美須~瀬戸内海海域における死者と神々に対する信仰とその変化~」、「日本のブルース受容における港町のブルース・バーの役割」、「沖縄・西表島における亀甲墓と死者儀礼の変容」、「沖縄の冥婚グソー・ヌ・ニービチと死生観」、 「万物の根源としての原初海洋~海の神話の表象~」、「スリランカと沖縄における治療儀礼の比較研究」、「新しい埋葬方法のもたらすものは何か~散骨・樹木葬と霊魂観の変容~」、「イルカ漁の賛否をめぐる~その象徴的理解の多様性について~」
受験生へのメッセージ  私たちの社会で、近代化された社会はこれ以外にありえないのだという考え方は支配的です。それは私たちがこの世界を覇権を握った側からの見方で見ているからですが、それに対して「海洋文明」を学ぶことは、「辺境から眺める」(テッサ・モーリス=鈴木)視座を獲得することでもあります。 近代を推し進めてきた「進歩」の思想に対して、立ち止まって考え直そうとしている今、それはもう一つの可能性を拓くのではないかと思います。
研究室ホームページのURL http://www.scc.u-tokai.ac.jp/~183045/